語彙が少ないと「頭が悪い」と思われる可能性があります。
これは、「見下す」というより、相手に話をあわせるための判断です。たとえば、子どもと話すときに、大人の言葉づかいをしないはずです。大人同士でも同じで、無意識に相手の語彙力を推しはかってしまうのです。
このような背景から、「語彙を増やさなくては」という危機感が出てくるのではないでしょうか。日本語はとくに語彙が豊かなだけに、個人差が目立ってしまいます。
この記事では、「語彙力とはなにか」「どのように語彙力をあげるのか」について解説しています。また、オススメの書籍なども紹介しています!
目次
語彙力がある人は“視点“が多い

語彙が少ないとどうなるのでしょうか?
ひとつの言葉で複数のものを表現しようとします。明治大学の齋藤孝教授によると「言葉の省エネ」が起きてくるそうです。言葉が短くなってきて、色々なことが「ヤバい」とか「キモい」と大雑把になってしまいます。
これでは“見えるもの”が減ってしまいます。本来なら別々だったものが、同じに見える。語彙が多い人に見えているものが見えないのですから、「頭が悪い」と思われても仕方がないかもしれません。
つまり、言葉は視点です。
語彙が豊富な人は視点が多く、見えるものも多いのです。
とくに、問題なのは、語彙の量が認識力の差を生んでしまうことです。「こいつには話が通じない」となる可能性が高いです。ビジネスの現場だったら、「この人とまた会いたい、一緒に仕事をしたい」と思われなくなってしまいます。
語彙を効率的に増やす視点
語彙を増やすには視点を増やすほうが早いです。
では、「効率的な視点」とはどういうものでしょうか?それは基本的かつ応用範囲の広い視点です。とくに、日常的に使える”教養”のある視点がよいです。
以下では、「客観」「専門」「社会」「歴史」「笑い」の5つを紹介します。
客観的な視点: 自分の口癖を知る
口癖が語彙力の壁になっています。
例えば、「かわいい」が口癖なら、色々なものがひとくくりに「かわいい」になってしまう。こうなると、語彙が増える余地がなくなります。
「かわいい」は女性同士で共感できて、価値があります。しかし、「つまらない」が口癖ならどうでしょうか?
このように、無自覚な口癖は「やばい」わけです。(苦笑)
以上から、語彙を増やすには、まず自分の口癖を把握することが重要です。メモ帳に気になったものを書き留めるようにしてみてください。あるいは、友人や家族に直接聞いてみるのもいいでしょう。
口癖をみつけるヒントとしては、
- 1日に何回も使う
- 答えに窮したときや人の話を聞いているときなど、特定の場面での常套句になっている
- 思考していないときに口から出る
「まじ」「なるほど」「たしかに」といったリアクションの言葉はもちろん、「すごい」「素敵」「面白い」「やばい」というような包括的な表現には要注意です。
『語彙力こそが教養である』(齋藤孝)
そして、口癖を禁止してみる。そうすると、”言い換え”をするようになって、語彙が増えていきます!
専門的な視点: 得意分野をつくる
普段は大人しいが、野球の話になると饒舌になる男がいたりします。野球を語らせたら、うるさい(苦笑)。野球ならば、語彙が豊富にあるのです。
このように特定の分野に詳しいなら、当然その分野の語彙は豊かになります。野球が好きなのに、野球の言葉をほとんど知らないということはないでしょう。
注目すべきは、苦労して語彙を獲得したわけではないことです。好きでいろいろ触れてきた中で、自然に増えていったのでしょう。つまり、好きな分野なら努力せずとも語彙を増やせるのです。
なので、好きな事や趣味を増やすのが一番の近道です。また、すでにあるなら、それをもっと追求したり、SNSなどで仲間と語り合える機会をつくることも1つの方法です!
社会の視点: メルマガを読む
いわゆる“教養のある人“は、世の中の出来事をよく知っているイメージですよね?
知っているなら、語彙がある証拠です。あるいは、知らなくても、話題にでてくる”言葉の意味”が分かればいい。ある程度の見当がついて話題についていけるのです。
話題についていけるか、いけないか。
この差は非常に大きい。話が盛り上がらなければ、新しい人間関係につながらないでしょう。仕事でも恋愛でも、話ができなければ発展は難しいはずです。
方法としてオススメなのはメルマガです。
新聞やニュース番組も良いですが、情報量が多すぎたり、テレビだとなんとなく見るだけの可能性もあります。その点で、メルマガなら自分のペースで読めて、なおかつ消化できるボリュームです。
- JMM Japan Mail Media (編集・村上龍): 無料
- Future report (執筆・高城剛) : 有料
- 堀江貴文のブログでは言えない話 : 有料
歴史の視点: 時代の流れを感じる
さらに教養人は歴史に詳しい。何気ない会話で歴史の話題が出てきても、さらりと話ができます。もちろん、「え?それいつだっけ?」となることはありません。
とくに、現代史をおさえると、効率がいいです。いま存在しているモノゴトが「あの時代のアレから発展してきたのか」と理解が深まります。もちろん、語彙や会話に反映されるでしょう。
ただ、歴史の教科書を大人になってから、あるいは学校以外で勉強するのはつらい。「語彙を高める」のが目的なら、マンガが最適です。気楽に読めるので長続きします。
ただ、効率を上げたいなら、気になったものや分からない用語はスマホなどで検索すると良いでしょう。こうすれば、マンガを読みながら教養を高めることができます!
- 『ゴルゴ13』(さいとう・たかを)
- 『キングダム』(原泰久)
- 『センゴク』(宮下英樹)
笑いの視点: ディテールをとらえる
面白い話をするためには語彙が必要です。
とくに、”ディテール”をとらえる必要があります。凝った言い回しやテンポ、表情、声の大きさなどの細部で面白くなるのです。逆に、“要約“されてはつまらない話になってしまいます。
『人志松本のすべらない話』がとくにわかりやすいですが、日常の話が面白い。表現だけでなく、間やテンポなどの技巧が駆使されています。芸人さんは“トータルな語彙“が豊富です。
語彙を増やすには、自分で聞いた話を再現するとより効果的です。テンポや声の強弱などディテールをより再現していくと、深い理解が得られます。友人や家族を相手に”すべらない話”をしてみましょう!
おすすめの本
『語彙力こそが教養である』(齋藤孝)
語彙を高めたいなら、この本は外せません。この記事では語彙の増やし方について簡単にふれましたが、さらに詳しい方法論が豊富な事例とともに解説されています。
『大人の教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』
(池上彰)
語彙の豊富さは教養からきます。この本では、教養を「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」の自由七科目と提案しています。生きにくい現代において「自分がどういう存在なのか」を明確にしてくれます!
『プレ・シンギュラリティ』(齊藤元章)
技術の驚異的な発展によって、これからの社会がらどうなっていくのか?だれもが関心をもつ話題です。
シンギュラリティは「技術的特異点」という意味で、2045年に人工知能が人類の知能を超えると予測されています。しかし、その手前で社会的な変化としてプレ・シンギュラリティが起こると著者は主張しています。
一般の人でも容易に読めて、かつ飽きることがない内容です。”未来に関する教養”として、オススメです!
おわりに
ところで、語彙が増えたかどうかをどう判断すればいいのでしょうか?
齋藤孝教授によると、「耳で聞いた単語を反射的に漢字変換できるのかどうか」が判断基準になるそうです。
つまり、難しい用語の意味がわかるかどうかです。変換ができるなら「理解している」と言えるでしょう。「え?どういうこと?」と聞き返すことが減っているはずです。
語彙習得に近道はないですが、気長に続けられる方法をぜひ見つけて下さい!
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