「地頭力」の本当の意味!?考える力を日常生活で鍛える方法

地頭力

「地頭力」は聞いたことあるけど、意味は知らない...

なんか頭がいい人??

「地頭力(じあたまりょく)」は2009年に細谷功氏による『地頭力を鍛える』でブームになり、社会的に知られるようになりました。

わかりそうでわからない言葉です。

地頭力をそのまま読み解くと「地のままの頭の力」で、「(知識がない状態の)素のままの頭の良さ」です。

この解釈だと「生まれつきの頭の良し悪し」になりますが、細谷氏によるとそういう意味ではありません。

「地頭力」は鍛えられるのです。

トレーニングによって向上できる思考力です。そして、多くの人は社会人になってからこの能力を鍛えないばかりか、認識すらしていない状態であると細谷氏は書いています。

以下では、この地頭力の定義とトレーニング方法について解説していきます。

地頭力の定義

地頭力の定義

頭の良さには3種類ある

『地頭力を鍛える』の著者・細谷功氏によると、頭の良さは3種類あるそうです。

  • 「物知り」
  • 「機転が利く」
  • 「地頭力」

「物知り」はクイズ王のように知識自体が豊富であることです。

「機転が利く」のは対人関係力が高く、多くの人と仲良くなれます。

そして、「地頭力」は問題解決力を意味します。コンサルタントや研究者などのいわゆる「思考力が高い人」のイメージです。

物知りと地頭力の違いはわかりにくいかもしれません。

物知りは「正解がある問題」に強く、地頭力のある人は「正解のない未知の問題」に対して能力を発揮します。地頭力はゼロベースで考える力です。

ゼロベース

ゼロベース思考は、目的に対して既存の枠組みや常識にとらわれず、白紙状態で考えようとする考え方です。これは既存の事例や思考方法では限界があるためです。ただし、本当にゼロではなく、実際には他業界の事例や概念が参考にできます。

地頭力とは何か?

細谷功氏によると、地頭力は以下の3つの要素から構成されています。

  • 「結論から考える(仮説思考)」
  • 「単純に考える(抽象化思考)」
  • 「全体から考える(フレームワーク思考)」

この3つの思考の関係は「問題解決のプロセス」でイメージできます。

ある問題が起きたときに、まずよくわからないので問題を整理します(フレームワーク思考)。そして話し合いながら、課題をしぼりこんでいきます(抽象化思考)。最後に、解決策となるアイデアをだして結論づけます(仮説思考)。

このように問題解決力で地頭力を説明すると、以下の図になります。

地頭力の図解

地頭力がある人は考える力があり、問題解決ができる人といえます。

アイデア

問題解決では基本的にアイデア(解決策)が最後ですが、逆のケースもあります。アイデアが浮かんで、課題となるテーマが見えてきて、問題が整理されます。おそらく、右脳的にアイデアが先行して、左脳的に理解していくのでしょう。

地頭力の鍛え方

地頭力の鍛え方

問題解決の練習が地頭力の効率的な鍛え方のひとつです。

例えば、コンサルタントが地頭がいいのは他人の問題を解決しているからでしょう。

それは、会社員よりも仕事において何十倍も問題解決をしているから、思考力が飛躍的に高まるのです。そして、コンサルタントになる人は学生時代からまわりの相談にのって問題解決をしてきた経験があるとも考えられます。

以下では、問題解決の練習方法を3ステップでまとめていきます。

フェルミ推定

フェルミ推定はGoogleの面接で使用された問題です。しかし、「バスの中をゴルフボールでいっぱいにするとしたら何個必要か?」は現実的問題ではありません。自分の日常や仕事に合った身近なトレーニングのほうが継続できるでしょう。

ステップ1 事例を集める

「Yahoo!知恵袋」や「お悩み掲示板」などのWebサービスで、相談事例をみていきます。カテゴリーや相談内容は、自分の興味がむくものがよいでしょう。

そして、事例を眺めるだけでなく、フォーマットに落とし込む練習をすると理解が深まります。

例えば、腰痛の問題なら、

【問題】前屈したときに腰が痛い

【課題】腰の痛みの原因がわからない(腰をもんでも治らない)

【解決策】ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)をゆるませる

これは実際の腰痛対策です。詳しい解説は動画で参照できます。

このようにフォーマットで事例を分析すると、「問題解決のテンプレート(型)」がみについていきます。習得の目安としては、10~30事例です。

「思考のフレーム(枠組み)」ができてきて、日常生活でもこの切り口で物事をみれるようになります。

悩み検索

10代、20代では当たり前になっていますが、日常的な問題は検索すれば解決策がでてきます。上の例なら、「腰痛 前屈」とキーワード検索すれば、解説サイトが表示されます。また、YouTubeなどの動画検索はさらに分かりやすくまとめています。

ステップ2 相談にのる

他人の相談にのると、地頭力がさらに鍛えられます。

ステップ1に比べて難しいのは「問題の整理」(フォーマット①)です。相談相手がこちらにわかるように状況説明をしてくれることはまれです。困っている人は、問題が何かをそもそも把握できていません。

起きたことを断片的にチグハグに話すので、こちらがつなぎ合わせてストーリーをつくる必要があります。また、「全てを話さない」「話に漏れ」があるため、重要な情報を引き出す質問の技術も要求されます。

ここをうまく行うためには、ステップ1で事例をストックしておきます。そうすると、ある程度のパターンがわかり、まとめやすくなります。

このように相談にのるためには、「少ない情報から問題整理する」という点で、ステップ1よりも難易度が高いです。

要約力

相談にのるためには「話を整理する必要があり、短くまとめる技術である要約力が磨かれます。要約力は本質をとらえる力であり、思考力の土台になります。

ステップ3 自分の悩みを解決する

最後のステップとして、自分の問題解決をしていきます。

ステップ2として他人の相談にのってきましたが、今度は自分の相談です。ここで難しいのは、客観的になれない点です。自分の悩みを客観視するためには、訓練が必要なくらいです。

このときに有効なのは「他人に話すこと」です。

他人に相談することで「曖昧になっていたこと」が明確になっていきます。ステップ2を相手に担当してもらいます。もちろん、相手まかせではなく、自分で話しながら整理していきます。

相手にわかるように話そうとすることで、客観的になっていくのです。

また、他人なので反応するポイントや価値観も違うため、問題を新しい視点でみることができます。多角的にみれるようになってきます。

そのように問題を整理するプロセスを手伝ってもらいます。

女性が相談する心理

男性とちがい、女性は相談をひんぱんにするものですが、男性が間違えるパターンとして「解決策をだして反感を買う」があります。共感だけでなく、地頭力でいえば「問題整理」が求められているのでしょう。

オススメの書籍

『地頭力を鍛える:問題解決に活かす「フェルミ推定」』
(細谷功)

この本が「地頭力」ブームの火付け役です。頭の良さを3種類に分類し、「地頭力」のトレーニングとしてフェルミ推定をとりあげています。入門編として『マンガでわかる 地頭力を鍛える』もおすすめです。

『仕事に生かす地頭力:問題解決ピラミッドと9つのレッスン』(細谷功)

この本も細谷氏の著作です。若手社員とベテランの対話形式で、当事者の観点から問題解決について学べます。問題解決の思考フレームをひとつひとつ初心者に寄り添って説明されています。

『地アタマを鍛える知的勉強法』(齋藤孝)

「地頭力」と「物知り」はちがう頭の良さですが、地頭力も知識が土台です。物知りほど深い知識は必要がないですが、多分野の知識をもっていないと多角的な視点を求められる問題解決に対応できません。そのための勉強法について解説されています。

終わりに

地頭力を本当に鍛えるためにはどうしたらいいか?

たぶん「現実の問題解決」に尽きるのでしょう。

でも、大人になると対応能力があがって困ることが少なくなり、本当に困ることは諦めるクセがついてしまいます。例えば、睡眠不足やダイエットは気になるけれど、実際には大変で本気になれません。問題自体がなくなっているのかもしれません。

子供のころと違って、大人は「問題をつくる必要性」があります。

大きくもなく、ちょうどよいサイズの”小さな問題”

「少し早く起きる」「少し家族のための時間をとる」など、日常生活の中の小さな問題をみつけるセンスを磨いていきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございます。


地頭力

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