こんにちは、園田です。今回はアイデアの本についてまとめてみました。
マジメに仕事をしていると“アイデアを出す方法“について考えるときがありますよね?
そのときに、本屋にいくとアイデアに関する本がいくつも並んでいます。そして、1冊買ってみて、読んで、感銘をうけます。しかし、その後もアイデアが泉のように湧いてくることはなく、しばらくしてまた本を買うことに。
究極のアイデア発想法があるのではないか?
こうして、ドンドンと深みにはまり、部屋にアイデアの本があふれてくる。
そうならないためにも、アイデア本についてまとめてみました!ひとくちにアイデアといっても、人によって求めているものが違うので、目的別にオススメを紹介します。 何を買えばいいか迷っていたら、参考にどうぞ。
目次
発想法を知りたい:『アイデアを脳に思いつかせる技術』
アイデアの出し方について、これ1冊で網羅できるほど体系的な構成になっています。
著者は視聴率200%男の異名をもつプロデューサーの安達元一氏で、情報デザイン論の専門家である藤本准教授が解説をしています。ノウハウ本としての完成度がたかく、セミナー企画の事例にもとづく再現性があるノウハウが満載です。
各章の要約は、以下のとおりです。
第1章 アイデアを出す9つの方法
第2章 セレンディピティFA法
第3章 実際にセレンディピティFA法を使う
第4章 著者と一緒に企画をつくっていく
ここで出ているセレンディピティFA法*が最大の売りです。
セレンディピティ(serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。
出典:Wikipedia
*FAの由来:F = Fujimoto(藤本), A = Adachi(安達)
セレンディピティを起こすための具体的な手順は(一部ふせています)、
- アイデアの種(キーワード)を集める
技法1:いつもは接しない人と話をする
技法2:毎日歩く通勤経路を観察して歩く
技法3:・・・
技法4:・・・
技法5:・・・ - キーワードの分類
時間:[新しい]and[古い]
位置:・・・
連続量:・・・ - テーマに当てはめる
手順1:ステップ2の分類項目(6種類)から1つ選ぶ
手順2:・・・
手順3:・・・
セレンディピティFA法の根幹は、手順1の”キーワード集め”です。セミナーでは、参加者は1週間かけてキーワードを集める作業を行なっています。時間をかけることで、生活の中でセレンディピティが起こるのをまち、”偶然のキーワード”がひろえます。
このキーワード集めのプロセスが、短時間でアイデアをだす他の発想法と大きく違っていて、説得力があります。
もちろん、他のアイデアの方法論もきちんとセミナーの実践例と合わせて説明されています。また、各方法論について、情報デザイン論の藤本先生が解説しています。
アイデアをだす作業は根気が必要で、時間がかかります。アイデアを出すことに慣れていない人は、いいアイデアが出るまえに諦めてしまうか、ちょっとでたら満足してしまう。だから、どのくらいやればいいかの基準を知るのが大事です。
アイデアをだす作業は1人で行うことが多く、他人がどうやって考えているのかを知ることは、大きなブレイクスルーをおこす可能性があります!
企画会議について:『コンセプトのつくりかた』
世界中で大人気のゲーム機Wiiの開発の裏側が全て書かれています。その開発ストーリーから、コンセプトの作り方と定義について臨場感たっぷりに解説されています。
提案されているコンセプトワークは、4つの人格「あなた」を使います。
- 「すきになるあなた」が、悪口(ニーズ・不満)*を言う
- 「かわるあなた」が、ズラす質問(新しいキーワード)を投げかける
- 「わかるあなた」が、言葉の星座(キーワードのグループ)を作る
- 「できるあなた」のために、物語を作る(コンセプト化する)
- 4つの人格の「影」を乗り越える(具体化する)
*カッコは本記事での解釈です
出典:『コンセプトのつくりかた』
Wiiが革新的なのは、”Wiiリモコン”を発明した点です。
「コントローラー」ではなく、「リモコン」。このリモコンの発明により、加速度センサーをつかった直感的な操作を可能にして、ゲームの概念を新しくしてしまった。それほど破壊力があるコンセプトが生まれたのです。
そして、他の本と違うと感じたのは、会議におけるファシリテーターの役割の本質にフォーカスしている点です。著者の玉樹真一郎氏の圧倒的な力量で、この人抜きではWiIは誕生しなかったでしょう。
アイデアを出し合うブレインストーミングは、やってみるとアイデアのブラシュアップが難しい。いろいろ出たけど、「結局どうするの?」で止まることが多いからです。
Wiiの開発主任の真似ができるとは思いませんが、日ごろのマンネリ化した会議に少しでも不満がある人には参考になると思います。
キャッチコピー:『思考のスイッチ』
電通出身の広告界の鬼才が、切れ味するどいコピーを作り出すために、練り上げてきた“アイデアの公式“を初公開。
著者の西島知宏氏は、独立後、バイラルメディア「街角のクリエイティブ」を立ち上げ、公開1カ月で45万PVのメディアに成長させました。
例えば、『JK用語で「鶴の恩返し」を読んでみた』はバズ記事として秀逸です。
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがジモメン*1と割と本気で暮らしていました。
ある日、おじいさんは街でオケった*2帰り、ヤバタン*3なぽっちヅルを見つけました。
「ちょ・・ガチ?」
おじいさんはインスタとvineにガンなえした鶴の姿をアップしました。
*1ジモメン=ジモトのメンバー
*2オケッた=カラオケをしに行った
*3「やばい」+「○○たん」=やばそう
出典: 『JK用語で「鶴の恩返し」を読んでみた』
狙ってヒットをつくれるコピーやブログ記事には、実は“公式“がある、と著者は言いきります。
それを列挙してみると(一部ふせています)…
- 常識 →非常識術
- ライバル接着術
- 付属品接着術
- 限定術
- 順番入れ替え術
- ・・・
- ・・・
- ・・・
- ・・・
- ・・・
- ・・・
もちろん、広告や記事を書く仕事でないと直接は使いづらいですが、商品やアイデアの名前を考えるときに役立ちます。
そして、個人的にはこの「名前をつける」という作業がアイデア作りのスタートになると実感しています。
デザインを考える:『問題解決ラボ』
世界的トップデザイナーの佐藤オオキ氏が語る、デザインを通して“見えてくる“問題解決の手法。
年間300ものプロジェクトをまわす著者の選りすぐりの作品を題材に、聞いているだけでクリエイティブになれそうな思考のプロセスを颯爽とした語り口で解説する。
ただ見てもらうだけでいい。
言葉でいろいろと説明しなくても、一瞬で相手の心をとらえるのがデザインの強みです。
もちろん、デザインだけでなく、アイデアについてもきちんと解説されています。例えば、第2章の目次(最初の一部分)を抜きだしてみると、
第2章 デザイン目線で考えると、
ありそうでなかった「アイデア」が見えてくる
— オオキ流「アイデア量産」講座1 アイデアは探さない — 「ボヤッと見」で視点をズラす −−−−− 40
「点」を「線」にする遊びで、周辺視を鍛える2 アイデアは「出し方」よりも「出る体質」 −−−−− 44
ひらめき体質は、「変化を減らす」努力から3 既視感も時には「武器」となる −−−−− 48
「何%の人が見たことがあるのか」— 既視感を調節する4 「図と地の反転」でアイデアを磨く −−−−− 52
図と地に気づくための「フラット見」5 「当たり前」を掛け算して「メニュー」にないアイデアを −−−−− 56
掛け合わせで「食あたり」を起こさないコツ『問題解決ラボ』(佐藤オオキ)
このように、1つの項目ごとに佐藤オオキ氏の作品とその生まれた背景についても知ることができ、デザインの素人でも読んでいて楽しめます!
また、デザインに興味がなくても、アイデアの種=イメージの力は必要です。
言葉の前にイメージ。
気になる人はどうぞ。
アイデアとは何か:『アイデアのつくり方』
言わずと知れたアイデアの古典的名著。初版の1965年から半世紀たっていてもその価値は下がらず、世界で1番売れたアイデア本です。
なぜこれほどまでにロングセラーになるのか?
普遍的な価値があるからです!
アメリカ広告界の重鎮でもあった著者のジェームズ・ヤング氏のアイデアの創出手順は、次のとおりです。
- データ(資料)集め
- データの咀嚼
- データの組み合わせ
- 発見した瞬間
- アイデアのチェック。
注目すべきは、創造的な作業の「③データの組み合わせ」です。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
…(中略)…
新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する。
出典:『アイデアのつくり方』
ここでも、センスではなく「組み合わせ」と言いきられています。上述の西島知宏氏も「公式」と言っています。つまり、アイデアは才能というより訓練だということです。
この本はアイデアを出すための思考の本質がていねいに説明されていて、希望を持たせてくれます。だから、50年も世界中で読まれているのでしょう!
アイデアの”本質”について気になる人には、ぜひ手元に置いておきたい1冊です。
まとめ
”究極のアイデア発想法”はどこにあるのか?
アイデア関連本を50冊以上買って読んでみましたが、私は見つかりませんでした。
アイデアについて気になりはじめて10年以上が経ち、今、私は大学で研究職(理系)をしています。そしてやっている事は、シンプルでした。たくさん本を読んで、メモを書き溜めて、議論をして、アイデアをがんばってひねり出す。
”究極の方法”は見つかりませんでしたが、小さい変化を起こしてくれる本はたくさん見つかりました。
近所の本屋にいって、アイデア本を1冊手にとってパラパラと読んでみてください。きっと小さな1歩につながる“いい本“が見つかると思います。
コメントを残す