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何をやっても長続きしない。
じつは…続けるためには「仕組み」や「強いモチベーション」だけでは足りないのです。
イチローは“その発想“で続けていません。
メジャーリーグの監督が舌を巻くほどの練習量ですが、何故そんなに淡々と同じ練習を続けられるのか?
その秘密を読み解いてみました。
“継続“に悩んでいるなら、参考にどうぞ!
目次
イチローに学ぶ“足し算“の発想
イチローは200本安打を毎年達成していました。
ここで注目すべきは、「打率○割」を目指していないことです。打率ではなく、本数を目標にしていたのです。
打率は調子が悪いと下がってしまいます。そして、数字の低下を気にして、また調子を下げるという悪循環が生じてしまいます。
しかし、本数ならば、数値が下がることはありません!調子が悪くても、150本打ったら150本のままです。よけいな精神エネルギーを消費しないので、集中できます。
この“足し算“の発想が「継続」でも有効です。
1日できなくても、今まで努力した“日数“は減ることがない。
しかし、「1週間継続できた」「10日間続いている」は“打率“になっています!1日でもサボったら、継続が”ゼロ”になってしまいます。そして、落ち込んでやめてしまう…。
ここで足し算の発想ならば、冷静に考えられます。「1週間」という成果は変わらずにあるのですから。
以下では、イチローの流儀から継続の極意を読みとっていきます!
「本当に足し算をする」のがシンプルに有効です。目標行動を行った日を数え上げていけば、モチベーションが下がりません。カウント用のアプリもおすすめです。
継続の極意 10選
① 安打に限定する「自分の目標」
イチローはホームランを狙えばもっと打てる。でも、彼がそうしないのは「自分はこれ(ヒット)でやっていくんだ」ということを示したいからなのだと思う
『イチローの流儀』(小西慶三)
ところで、ホームランにこだわるイチローはどうでしょうか?
誰もが「違う」と感じるはずです。あるいは、まったくイメージできないかもしれません。少なくとも、世界で活躍している今のイチローではなかったはずです。
想像ですが、野球を志す者はホームランに憧れると思います。打者なら、なおさらのことでしょう。
ただ、イチローはその憧れだけでホームランを目標にせず、“安打“を自分の目標に据えました。
「継続」を憧れと切りはなして、“自分の目標“をたてられるか、が重要です。
上達の極意として「習得したいスキルを限定すること」が重要です。「何を」継続したいのか、その見極めで成否が決まると言えるでしょう。
② 自分のスタイル「勝ちパターン」
自分はヒッティングポイントがたくさんあるバッター。大きな当たりを狙えばその分自分の持ち味を捨てることになる
『イチローの流儀』
イチローのバッティングのスタイルはあの有名な“振り子打法“です。
この打法は、重心を前足に移動させながら打ちます。早めに上がった前足が「振り子」の動きになるので、そう呼ばれています。
ただ、重心が動くので、ボールをとらえる難易度があがります。しかし、イチローはスイング速度がはやく、手首や足首がしなやかなので、この打法が向いているそうです。
そして、この打法は「変化球に対して変化を見極めてから打てる」ので、ボールをとらえる率をあげることができます。つまり、”安打”に向いています。
このように自分の勝ちパターンをみつけましょう。同じパターンで継続できます!
「継続」はとくに初期段階が重要です。始め方のパターンとして、「人を巻き込む」「入門書を読む」「道具をそろえる」「一気にのめり込む」などがあります。自分の得意なスタイルを確立しましょう!
③ 道具の手入れ「道具を確認する」
道具を大事にする気持ちは野球が上手くなりたい気持ちに通じる
『イチローの流儀』
イチローは試合後に必ずグラブやシューズを磨いています。
「道具は身体の延長」ですが、一流だからこそ、その感覚が鋭いのでしょう。
手入れをすることで、道具に身体感覚をリンクさせていると考えられます。
「継続」でも、今使っている道具が「本当に使いやすいのか」「調整は大丈夫か」など細かい確認をしていきましょう。少しでも感覚的に引っかかると、継続の妨げになりかねません。
また、余裕があれば高価な道具を買うのもアリです。使いやすい上に、大事にします!
道具の購入は初期投資と考えられます。お金を出すと「後戻りできない心理」になるので、有効な戦略です。ただ、最初はコストは抑えめで慣れたら高価なものを購入する「二段階戦略」がおすすめです。
④ 対戦相手と向き合う「難易度を感じとる」
試合前、対戦相手投手のビデオを仔細に見ることは少ない。ビデオスクリーンの二次元画像で受けるイメージと、実戦での立体的イメージに差があった。相手投手の大まかな持ち味、球速をインプットすればあとは実際の打席での感触が頼りとなる
『イチローの流儀』
イチローは対戦相手の投手のデータやビデオをあまり見ないようにしているそうです。
固定観念でみる危険性をよく知っているからです。そして、目の前の投手の状態をよく見極め、一球一球に集中するためです。
このように”やりたい事”について先入観なしに難易度を見極めことが大事です。
とくに、誰かが簡単にできたとしても「自分にとってどうなのか」が重要です。
とくに、実際にやってみた感覚が大事です。「難しいのか」「時間がかかるのか」「労力がかかるか」を経験ベースで吟味してみましょう。
例えば、早起きの習慣を目標にします。このとき「朝5時に起きる」が難しいなら、とりあえず確実にできる「6時半」にしてみるとよいです。「思いっきりハードルを下げること」はかなり有効です!
⑤ 一打を積み重ねる「スモールステップ」
バッティングというものは失敗することが前提なので、決してモチベーションを失うことはない
『イチローの流儀』
イチローは打てなかった日が続いても、落ち込まずに修正を続けていきます。
そして、小さい改善を続けていく中で、大きなヒントをつかむ時がきます。
逆境でも努力を続けられるのは、スモールステップが大きな飛躍につながると確信しているからでしょう。
ひとつひとつ重ねていきましょう!
少年マガジンで連載中のテニス漫画です。主人公は高校からテニスを始めますが、持ち前の真面目さを発揮して、ノートでひたすら改善点を見つけていきます。細かい”上達のプロセス”が読んでいて楽しいです。
⑥ フォームの修正「課題をみつける」
ファウルした打球が、そこにはフェアの打球も含まれますが、バットにボールが当たる位置がイメージとずれるように感じたんです。やけに詰まる、と。それで、そのときに気になったのが上体の固さだった。それをはっきり自覚したのはあのオールスターの、シリングの一球目だったですね
『イチローの流儀』
イチローは、毎年フォームを修正しています。
それは一打一打の中で、課題を見つけることができるからです。
特に、身体感覚を研ぎ澄ませることで、細かい違いを発見しています。
課題を見つけることで効率的になり、継続させるコツです。
ある習慣を「朝にするのか」「夜にするのか」で効率が変わってきます。「効率」という観点でも、自分の生活の”課題”をみつけられます。自分の感覚を使って、順番を調整してみましょう!
⑦ 余分な筋肉はつけない「邪魔の排除」
できるだけ体が大きくならないようにしている
『イチローの流儀』
イチローはメジャーデビューにあたり、体重を8キロ増やしました。
しかし、翌年もとの体重に戻しました。
余分な筋肉がスイングの邪魔をするからです。
「継続」が上手くいかない1つの要因として、邪魔な習慣が必ずあるはずです。どんどん削っていきましょう!
行動科学では、目標とする行動を「ターゲット行動」、それを邪魔する行動を「ライバル行動」といいます。例えば、ライバル行動はネットサーフィン、間食、立ち読みなどで必要ではないが「ついついやってしまう行動」です。
⑧ 朝はカレー「生活パターンの固定化」
同じものを食べることもリズムのうち
『イチローの流儀』
イチローは毎朝カレーを食べていたそうです。
(今ではそうめんに変えたようです)
また、遠征では食事は決まったお店に行くようにしているのです。
継続のためには生活パターンをできるだけ固定するほうが効率的です。
一定のリズムができて、物事を継続するのが楽になります!
物事を継続するときに有効な概念です。意思の力でやるのではなく、考えなくてもやる”仕組み”をつくります。とくに、毎日行う習慣の間にサンドイッチすると、新しい習慣を作りやすくなります。
⑨ 誤差への対応力「生活リズムの立て直し」
バットは水分を吸い込んで重くなったり、環境によって微妙な変化がある。バットが木という自然の材質でできている以上、常にベストの状態を期待するのは不可能なんです。だから、ピンポイントでバットがベストの状態にこないといけない選手ではこの世界で長くやっていくことはできない。長いシーズンを乗り切っていく上で、バットの変化をカバーできるような技術的な器の大きさを持っていないと苦しいんです
『イチローの流儀』
イチローはバットの重さの変化もmg単位で感覚的にとらえます。
バットの重さは、湿度などによって水分を吸収して変わってしまいます。
バッティングに影響しますが、打者なら「その誤差は対応するべきもの」とイチローは言います。
生活リズムを整えても、突発的な出来事によって目的の行動が一時的にできなくなることがあります。そのときに何となくやり直すことが億劫になりかねません。
このような“生活の誤差“も対応すべきものと考えましょう!
「早朝出勤」「出張」「飲み会」「家族サービス」「体調不良」などがあげられます。そのほかにも、順調にいっていても「突然やる気がきれてしまう(燃え尽き)」時期が発生します。例外事項には注意しましょう!
⑩ 休日は何もしない「燃え尽きを防ぐ」
シーズンオフは自分の体が野球をしたくなるまで何もしない
『イチローの流儀』
イチローは休日中は本当に何もしないそうです。
真剣勝負の世界で疲れた神経を休めるためでしょう。
夢中になれるコトでも、続けて行くと倦怠感が生じてきます。また、休むことによって新しい発想が出て、ブレイクスルーにつながることもあります。
休息を積極的にとりましょう!
技術の習得期間におこるスランプについて、スポーツ心理学の知見から解説されています。とくに、技術だけでなく、心理的飽和についても分析されています。
おすすめの本
『新板「続ける」技術』(石田淳)
行動科学をもとに「続ける」仕組みについて分かりやすく解説しています。短いながらも理論と事例が豊富です。とくに、「継続」に関して強い苦手意識をもっている初級者におすすめです。
『そろそろ本気で継続力をモノにする!』(大橋悦夫)
継続のタイプを「続ける系」「ためる系」「マスター系」の3つに分類し、タイプごとの”じゃま者”の対処方法が解説されています。「継続」に関して、出来たり出来なかったりとムラがある中級者が対象です。
『たいていことは20時間で習得できる』
(ジョシュ・カウフマン)
習得したいスキルを「サブスキル」に分解して、20時間で集中的にとりくみます。基本スキルを素早く習得できるノウハウです。「継続」に関してあまり苦労していないが、さらに早く身につけたい上級者向きの本です。
おわりに
だれもがイチローのようになれるわけではありません。
ただ、ほんの少しのことでいいから、継続して何かを達成したい。
これは誰しもが願っていることではないでしょうか?
本記事では、一打を積み上げるイチローの“足し算“の発想から継続のヒントを書いてみました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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