「どうしても集中できない」
「気づいたらダラダラしていた」
「集中できる時とできない時のムラが気になる」
ひとつのことに集中することは難しいですよね?
がんばっているのに集中できないのはつらいことです。
自分のまわりにいる集中力が高い人をみて、「どうしてそんなに集中できるのか?」「何かコツはあるのか?」と思うことが多々あるでしょう。
集中できない原因としては、大きく3つあります。
- 知識の不足
- 技術の不足
- 準備の不足
「知識の不足」は、とりくむ内容についての用語、やり方、経験といった必要な知識がそもそも足りていないことです。よくわからないまま手を動かすので、当たり前のように判断に迷って、集中力が落ちます。
その次に「技術の不足」です。とくに、その事柄について初心者だった場合は集中すること自体がむずかしいです。上手くできないので気が散ってしまいます。
さいごに、「準備の不足」です。これは知識や技術の不足と違い、そのときの「工夫でどうにかなる範囲」です。知識・技術を改善するには時間と労力が大幅にかかりますが、準備不足の原因は知るだけで改善します。
この記事では”準備”をテーマに、「集中力を高める3要素」について書いていきます。
そして、いかに努力をしない(他力)で集中力をあげるかを解説します。
目次
他力本願で集中するための3つの要素

集中するための”他力”とは?
他力とは、ずばり「事前準備」のことです。
「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、集中するための準備は項目が多く、1つでも欠けてしまうとそれが引き金となって集中できません。
集中を難しくしているのは1つの原因ではなく、多数の原因です。1つの原因を潰しても改善しません。これが集中力の本質です。
そのため、集中力をあげるには「点」ではなく「面」で対応する必要があります。
事前準備によってこの面をきちんとつくって、知識や技術不足を補うことができ、ムラなく集中状態(ゾーン)に入っていくことができます。
準備をすれば、勝手に(他力で)集中できるのです。
逆に、集中力の”面”をきちんとつくらずに、意思の力(自力)で集中しようとするのは非効率です。いわば、面の穴から「集中のためのエネルギー」がだだ漏れ状態になってしまいます。
もちろん、プロスポーツ選手や名人のような深い集中は望めませんが、「自分の実力を発揮できる集中」は可能になるでしょう。
以上が、「他力本願」といってよい集中力の本質です。
現代では「他人まかせ」という意味になっています。本来は「阿弥陀仏(他)が衆生(しゅじょう:あらゆる人々)を救済する本願の力(はたらき)」です。解釈次第ですが、この記事では両方の意味になるかもしれません。
集中の3大要素
集中力の「面」を構成する要素として、3点あります。
環境・コンディション・リズムです(下図)。

集中するための「環境」を整え、集中できる「コンディション」をつくり、集中状態に入るための「リズム」をつかめれば、自然と集中できるものです。
集中というのは意識状態を指しますが、そこだけを考えると非効率です。上図のように、意識をとりかこむ「環境」「コンディション」「リズム」という外側の要素(他力)に働きかけると効率的です。
また、それぞれの要素は難しいことはなく、「小学校で習うようなごく簡単な準備」で大丈夫です。
以下では、9つの方法を紹介していきます。
ひと手間で実行できるものですが、それらをきちんと整えていくことで、集中力を確実に高めることができます。
ステップ1:集中するための”環境”
前日に用意をする
小学校のときに「寝る前に明日の持ち物を用意しましょう」と先生から言われたものです。懐かしい思い出です(笑)
前日に必要な書類やツールなどを用意しておきましょう。
社会人や大学生になってから、「前日に用意する習慣」が無い人が多いのではないでしょうか?
優秀な人や真面目な人はこの一手間を惜しんでいません。
前日にやることで今日一日のタスクを思い出す必要もなく、スムーズに仕事に取りかかれます。スタートの段階で、集中力をそがれてしまっているのです。
前日に用意することで、一度、脳内でシュミレーションが行われます。人間ははじめての体験は「脳の負荷」が大きいものですが、前日に疑似体験することで負荷が小さくなります。
同じような1日といえども、脳のレベルで考えると膨大な情報処理が行われています。
特に、寝ている間は脳内でその日の記憶情報が処理されるので、前日にシュミレーションをしておくと大きな差をつけることができます!
米・ソーク研究所のテリー・セチノウスキー教授の研究によると、人間の脳は1ペタバイト(約千兆バイト)の情報量を記憶できるそうです。この事実は従来の定説の10倍になります。日進月歩で脳の記憶力のすごさが解明されています。
やることを全て書きだす
仕事の細かい項目をあらかじめ全て把握しておきます。
「前日に用意すること」で全体を、「タスクの書き出し」で細目を把握するのです。細かく書き出すことで、同様に脳内で仕事のシミュレーションが行われます。
この書き出しは、「ノート」でも「オンラインのメモ帳」でも自分にあったものを試してみてください。単純にポストイットを机に貼り付けておくだけでも効果は得られます。
大事なのは、書き出す時間帯を決めておくことです。
日課として毎日の流れの中に位置づけしておきます。例えば、「1日の仕事終わりの10分」をとって次の日のタスクを全て書き出すのもよいです。
あるいは、「プロジェクトの始まりの前」に予めポストイットで作成して、ファイルします。そして、一日ごとにその日に必要な分をとりだす形もオススメです。
時間がなければ、「1週間の終わり」に次週のタスクを書き出すのも考えられます。
やり方は自分に合ったものがいいですが、毎日の確認するのがコツです。
ライフハックでGTDなどの高度なタスク管理があります。しかし、初心者の人は上記のようなシンプルなタスク管理でないと難しいものです。「自分のスタイルができてから複雑なタスク管理に挑戦する」と考えれば、気持ちが楽になります。
いらないものを片付ける
机の上はきれいでしょうか?
書類の山になっていたり、ペンや本が散乱していませんか?
集中できない人は整理整頓も軽視しがちです。整理の習慣がある人からみれば、机の上がごちゃごちゃしていると落ち着かなくなり、集中力の低下が感覚的にわかります。
しかし、そうでない人は乱雑さで集中力が落ちていることを実感できません。
損をしていることに「気づけない状態」になっています。
一般的に、視界にはいる物の数が多いほど集中力が落ちます。脳が無意識に処理していて、脳内のエネルギーが常に消費されています。
いちど片付けてみましょう。
きっと集中力をあげてくれます!
感覚が環境に応じて変化して、慣れていくことを「順応」といいます。しかし、順応するまでは集中力が落ちてしまいます。部屋が散らかっていると、小さい変化があって、それに”慣れる”のにエネルギーが奪われます。
ステップ2 集中の土台となる”コンディション”

睡眠をきちんととる
寝不足の状態では集中できません。
きちんと睡眠をとることで、集中するためのコンディションができます。脳がフラフラな状態では、どんなに集中力がある人でも難しいでしょう。
しかし、人によっては仕事上のスケジュールや残業などで睡眠時間が確保できないかもしれません。
そのときは仮眠をとるのがオススメです。
15分もとれば脳が回復します。30分以上だと身体が本格的な睡眠モードに入ってしまうので、短めにしましょう。もし会社のデスクで仮眠をとるのが難しい場合、トイレの個室で寝るという人もいます。
アイマスクで光を遮断するといっそう効果的です。
昼休みなどの時間を利用して仮眠の習慣をつけると、午後からの集中力が増します!
明星大学の梶谷真也准教授は「労働者の睡眠時間が増えると賃金率(時間当たりの賃金)が上昇する」という実証分析を日本経済学会で発表しました。このようにデータからも睡眠が生産性を向上するのは明らかです。仮眠をおすすめします。
食べ過ぎない
食後に眠くなるのは「(消化のために)胃に血液が集まり、脳に血液が足りなくなるため」です。
また、炭水化物などの糖質をとると「血糖値」が上昇します。その後、すぐさまインシュリンが分泌され急降下して低血糖状態になります。この乱高下により眠気に襲われます。
このため、血糖値の急上昇をおさえるにはGI値の低い食品をとるとよいです。おもに、野菜とタンパク質です。肉類は意外にほとんどのものが低GI値です。
そして、何よりも「食べすぎないこと」が大事です。
炭水化物である白米やパンの量を減らして、(場合によっては肉類を増やして)眠くならないようにコンディションを整えましょう!
1日3食は江戸時代にはじまったと言われますが、必ずしも3食にする必要はありません。スポーツ選手の多くは軽食も含め、1日4食以上食べています。朝食やランチを少なめにして、サプリメントやプロテインバーなどで補う方法もあります。
集中できる時間帯を知る
時間医学によると、起床4時間後(午前中)に最も集中力が高まります。
エネルギーに満ちていて、とくに、「クリエイティブな仕事」に適している時間帯です。企画や文章をつくる作業がおすすめで、それ以外にも1日の中で「最も重要な仕事」をしていきましょう。
お昼過ぎは食後ということもあり、「単純作業」が向いています。事務処理などを中心にこなすのがよいでしょう。
そして、夕方ごろはまた集中力が高まってくる時間帯です。1日の仕事を終わらせるために、「テンポ」をあげると効果的になります。
もちろん夜型タイプで自由業やフレックスタイム制の仕事の場合は、夜に合わせるのも良いでしょう。
以上から、はじめの一歩としては、自分が「最も集中できる時間帯」を把握して、そこをピークにして1日の仕事配分を決めていきましょう!
時間医学の知見によると、免疫力が最も高まる起床5時間後(6時起床なら11時)が精神的にタフになるそうです。上司も同じ状態なので、その時間が「上司への相談に向いている時間帯」になります。
ステップ3 集中状態に入るための”リズム“

タスクを並べる
「手を動かしながら、次にやることを考える」
これはやってはいけない仕事術です(苦笑)
事前にタスクを明白にしておくこと。これが最も効率の高い方法です。
例えば文章をかくときに、目次(アウトライン)をきちんと作るとスムーズに書けます。途中で構成レベルの大きな変更を考えずにすみ、集中できます。
逆に、文章が苦手な人は目次をないがしろにします。うまくリズムにのれず、手が止まってしまいます。そして、断念するパターンが多いのです。
そのほかの例としては
- タスクを書いたポストイットを並べる
- 処理するべき書類を並べる
- 返信するメールをすべて展開表示する
このようにタスクを並べると全体が見通せて、集中力を高める余裕ができます。
GDT(Getting Things Done)も「タスクを並べる」ので同様のリズム効果があるのでしょう。登録したタスクをサクサクとこなすと、リズムが出て集中力が増していきます。
簡単な作業から始める
作業のとりかかりは集中力が低い状態です。
このときに難易度の高めの作業から入るとリズムが悪くなります。簡単な作業からはじめることで、調子をあげていきましょう。
例えば、プレゼンテーションの資料をつくるときにも有効なメソッドです。
30ページの資料をつくるなら、1ページずつではなく、白紙のページを30枚並べてしまいます。そして、ページタイトルを入れていきます。そうすると、枚数の重圧で手が止まることを防げます!
簡単な作業としては(タスクを並べるのとかぶりますが)
- メールの返信
- 資料を順番に並べる
- 文章の添削をする
とにかくスタートダッシュで手が止まらないように、単純な作業からリズムを作っていきましょう。
雑用などできるだけ「手を動かす作業」がとくに効果的です。なにも思いつかないときは机やPCの掃除をやってみるのもよいです。
次の仕事もしてしまう
必ずしも時間通りに仕事を終わらせる必要はありません。
ひとつの仕事が終わったら、その余熱でもうひと仕事しましょう。
仕事の終わりは集中力が研ぎ澄まされている状態です。その集中力を落として「オフモード」に入るのはもったいないです。
仕事のスタートは「集中力のエンジン」がかかるまで時間が必要です。
前の仕事の勢いでこのハードルを超えると、次の仕事にスムーズに移行できます!
社会人になると仕事を複数こなす状況が多くなります。支障がない範囲で気になった時にサブの仕事を進めておくと、スムーズに次の仕事にシフトできます。そのために、1つのフォルダやアプリに仕事を集約しておくと良いでしょう。
集中力に関するオススメの書籍
『自分を操る超集中力』(メンタリストDaiGo)
メンタリストDaiGoによる集中力のノウハウ本です。本書をパラパラとめくれば、その分かりやすさに引き込まれます。特に、知識を習慣化するための実践的な心理テクニックが最大の特徴です!
『脳が冴える15の習慣 ―記憶・集中・思考力を高める』
(築山 節)
こちらも集中力に関する入門書で、50万部を超えるベストセラーです。落ち着いた文章で、集中力についてじっくりと書かれています。DaiGoさんの本が若者向けなら、こちらは大人向けです。
『ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力』
(ポール・ハマーネス他)
ADHDの患者を治療する「専門医師」と何万人ものクライアントをみてきた「コーチングのプロ」がコンビを組んだ最先端の知見です。「自分の脳を整理する方法」を解明し、集中力を最大化します。そして、意外に単純な方法なので、日常生活で実践できます。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
書き終えてみると、「集中力」がいかに細かい注意が必要かを改めて感じました。
新しい事を始めたときは集中できないものです。なぜか検索してしまったり、SNSのコメントをチェックし始めます(笑)
技術が身について習慣化すると、不思議と集中できるようになります。
大事なのは「初期段階の壁を超えるまで」です。
それまでは集中力を維持できる知恵が必要なのだと思います!
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